昔はまったこと

私は今でも手帳に戦車の写真をはさんだりしているので、
それを見た人には「うっ…?なんだこいつ?」という目で見られてしまうのだが(無理もない…)、 
これはAFVに凝っていた頃の名残である。
AFV…それは…戦車や軍用車両の模型作り…。

やたらマニアックな世界に入ってしまったとお思いの方もいるだろうが!
これはたいしてマニアックなわけではない。
なにしろ専門の雑誌まであるのだ。←それがマニアックだっての。
しかし今も続いているかどうかは定かではない…
少なくとも皿がAFVをやめるまでは、たしかにあったのである。

それにAFVはプラモデルの中でも比較的入りやすい。なぜなら塗装がラクなのである。
ガンプラ系や車などとはちがい、下地いらず、手間いらず、やってみたいとおもう方は
ここから入るといいだろう。ただし部品は非常に細かい。
くしゃみなどして部品を飛ばさないよう、事前に十分くしゃみをしておくことだ。

今ではすっかり足を洗ってしまったので、プラモデル自体も資料なんかもなくなってしまって、
記憶も定かではなくなってきているが…
物忘れの激しいのはこの頃のシンナーのおかげで脳がとろけてしまったのだと思っている。
私が特に好んで作っていたのは、ドイツのⅣ号戦車のD型というやつ。
いかにも、戦車らしい戦車といえる。
それからゲパルト対空戦車、これはちょっと変わっていて、機関砲が二本
砲塔の両側についているタイプである。このふたつはお気に入りで3個くらいつくったものだ。

そのうちジオラマなんかも作りたくなってきて、研究し始めた。
ジオラマといったらやはりナチス・ドイツ系のものが多く、北アフリカだと
ロンメル将軍などが必ずでてきたり…。わたしもちょっと簡単なものを作ってみた。
しかしなぜ、外国物ばかりなんだろう? 日本のジオラマはできないんだろうか?
だいたいフィギュアが売ってないな。日本兵のフィギュアなんて、
日本の戦車の付録でしかみたことない。
しかしフィギュアなどは一から作ってしまうひともいるくらいだ。
ドイツ兵でも色やパテでごまかすことはできるだろう。
そうして私は夢の「満州事変」のジオラマ作りを計画した。

しかしひとまず「満州事変」について調べる必要があるだろう。
戦車の型が満州事変より後だったりしたらシャレにならない。
といって、誰かに見せてそんなことがわかるような人間は回りに一人もいなかったのだが…
完ぺき主義の私としては、そんな失態は自分に許せなかったのだ。
そしてAFV作りをいったん離れ、満州事変研究に没頭した。

なぜ満州事変なのか?…なんだか、ロンメル将軍のアフリカ戦線と同じく、
痛快なイメージをもっていた、ただそれだけである。
深くは追求しないで欲しい。調べていくうちにそんなに痛快な物語ではなくなってきて、
しかもあんまり戦車の活躍はなさそうである。

そんなときである! 「アーマーモデリング」が出されたのは…!
これは前述のミリタリー模型専門の雑誌だ。まるで私が待ちに待った雑誌のように思えるだろう。
ところがどっこい。あまりの高度さにやる気を失ってしまった。
ちょうど満州事変「熱」も冷めてきていたし、一気にAFV関連の「熱」が引いていった…。

部屋にあった戦車たちは、いつのまにか掃除のたびにだんだんと隅に追いやられ邪魔にされて、
ついには押入に放り込まれた。以前は眺めているだけでも幸せだったのに…。
そして押入の中でもガラクタにつぶされてゴミになっていった。

今も残るのは、ちょうど熱の入っていた頃、家に遊びにきて
一台持っていった友人の家に、確か日本の九七式であった。今でも持っているかどうか。
それと奇跡的に押入の中で生き残ったⅣ号戦車一台のみというありさま。
いかに自分が熱しやすく冷めやすいか、このことを考えるとハッキリ分かる。